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COVID-19とイブプロフェン 〜もしも熱が出てしまったら〜

Updated: Apr 7, 2020


先日からTwitterやFacebook等で飛び交っている「Covid-19にイブプロフェンを使わないでください!」というポストをご覧になった方も多いと思います。そして、そんな情報を目にして「今の時期に高熱が出たら、一体どうしたらよいのだろう?」と思われた方も少なくないかもしれません。


そこで今日は、医療や疾病、薬剤使用などのガイドラインとして世界の判断基準とされている3つの機関のスタンスを調べ、服用に際して「自己判断しない」ことの重要性について考えてみたいと思います。


イブプロフェンは、NSAIDS(Non Steroidal Anti-inflammatory Drugs)と呼ばれる薬の一つで、アメリカではAdvilやMotrin、日本ではイブなどの商品名で市販されている抗炎症剤、解熱鎮痛剤です。 ヨーロッパやその他の世界の国々でも使われています。


今回のCOVID-19とイブプロフェンをめぐる情報は、フランスの厚生大臣が自身のTwitterで「イブプロフェンが新型肺炎の症状を悪化させるので避けるべき薬」としてTweetしたことに始まり、ウィーンでも話題になり、その後世界中にネットで拡散されたようです。WHO(世界保健機構)も一度は「自らの判断で服用しないよう」注意を促し、その後「イブプロフェンの使用に反対することは推奨しない」とTweetした経緯があります。[1]



4月4日現在、三つの機関のウェブサイトには以下のような説明が掲載されています。

・CDC(アメリカ疾病予防管理センター)は「現在のところイブプロフェンを含むNSAIDSと新型コロナウイルス感染症悪化の関連性があるか、はっきりした科学的証拠は認識していない」「FDA, EMA, WHOとCDCは状況をモニターし続け、NSAIDSとCOVID-19に関する新しい情報が出てきたら再考察する」とのこと。[2]

・FDA(アメリカ食品医薬品局)とEMA(欧州医薬品庁)は、ともにCDCと同様の声明を出しつつ、加えて、今回の件に限らず「NSAIDSの抗炎症作用や解熱作用が、感染のサインを弱め(FDA)[3],感染悪化の症状を隠してしまうかもしれない(EMA)[4]」という警告が既にあることにも触れています。

またFDAは「効果の出る最低用量で、できるだけ短く」服用することについても言及しています。[4]


ところで今回の件で、「Covid-19にはイブプロフェンではなくアセトアミノフェン(Tylenol/米、カロナール/日)が第一選択なのかな」という印象を持たれたかもしれませんが、ではアセトアミノフェンなら誰もが服用していいのかというと、決してそうではありません。

それぞれの薬に、服用が適さない人がいます。基礎疾患があるか、たとえ基礎疾患は無くても何か他の薬を飲んでいないか、あるいはその時の症状、年齢、体質、妊娠しているか、などなど様々な留意点があります。いずれの薬も量を誤ると重篤な副作用があるため、一日の服用最大量が定められています。

また意外に忘れられがちですが、鼻水や咳などの薬と一緒にイプブロフェンまたはアセトアミノフェンが入っている合剤も市販されているので、知らないうちに摂取量が多くなってしまうこともあり、注意が必要です。


解熱剤の使用そのものに関しても、「熱を下げるメリット」も色々あれば、発熱により免疫系が活性化するので「熱を下げないメリット」もあり、判断が難しいところです。

「ではCovid-19パンデミックのいま、感染症が疑われる高熱が出たら一体どうしたら良いの??」ということになりますが、答えは「自己判断しない」ということに尽きます。

一人ひとり違う症状や体質、バックグラウンドといった「全体像」から判断してもらうために、プライマリードクター(かかりつけ医)に電話して相談するのが賢明です。

ほかに、CDC、FDA、EMAは揃って「もし今現在、何らかの慢性疾患に対して医師の指示のもとでイブプロフェンやその他のNSAIDSを服用している場合は、自己判断で服薬を中止しないこと」も勧告しています。[2] [3] [4]

FDAでは、普段から市販薬の添付文書やラベルを隅々まで読むことを勧めています。[3]

薬は飴やチョコレートとは違う、ということを改めて思い出させられますね。



・・・と、ここまで「もしも」この時期に熱が出てしまったら?というお話しをしてきましたが、もちろん、出来るだけCovid-19に罹らないような心がけや穏やかに過ごすことが一番!


With love, Hisako Tachikawa

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